「チェルシー・ブーツ」についての歴史を学ぼう
チェルシー・ブーツはもともと「ディーラー・ブーツ」と呼ばれていたものですが、英国ロンドン市内でチェルシー・ブーツとして流行したことから、今ではこちらの呼び名のほうが知られるようになりました。
ゴムでできた伸縮性のあるサイドパネルと足首を超えた高さが特徴です。
また靴の後ろにループ状のタブがついていて、履くときにかかとを引き上げることができるようになっています。
歴史は古く、英国ヴィクトリア朝時代にさかのぼり、当時から男性も女性も着用していました。
デザインはヴィクトリア女王お抱えの靴職人「J. スパークス=ホール」によるものだとされています。
靴職人のJ. スパークス=ホールは「彼女(ヴィクトリア女王)は毎日チェルシー・ブーツを履いて歩いており、おかげでこのデザインの価値が最高に証明された」と述べています。
当時の広告には、このブーツを「J. スパークス=ホール登録商標 エラスティック(伸縮性のある)・アンクルブーツ」と記されていました。
このブーツはウォーキングだけでなく乗馬でも使われ人気となっていきます。
そののち、チャールズ・グッドイヤーにより加硫ゴムが開発されたことが、「エラスティック・ガセットブーツ」の発明につながりました。
簡単に取り外したり、再び取り付けることができるのがエラスティック・ブーツの大きな利点です。
すでに1840 年代後半にはファッションとして受け入れられるようになり、第一次世界大戦の始まるころまで西欧ではよく知られたスタイルの一つとなりました。
イギリスでは1950年代から60年代にかけてチェルシー・ブーツが人気を博します。
当時の若者文化の中心だったのがロンドンのチェルシー地区にあるキングスロードで、ここを歩く若者たちの多くがこのブーツをはいていたため「チェルシー・ブーツ」と呼ばれるようになったものです。
1961年には、バレエシューズメーカーの「アネッロ & ダビデ」がビートルズから注文を受け、キューバ産のヒールとつま先の尖った特製チェルシー・ブーツをデザインしました。
これがいわゆる「ビートル・ブーツ」と呼ばれるもので、チェルシー・ブーツとは異なりますがある種の派生形とみなされています。
のちのいわゆる「モッズ」たちもビートル・ブーツを愛用し、彼らはスーツ姿で着用していました。
また「ジョッパー・ブーツ」と呼ばれる乗馬用ブーツやブランドストーンで知られる「オーストラリアン・ブーツ」などもチェルシー・ブーツから発展したものと考えれています。